ものがたり
戦国の荒廃した城址に
私たちは音と光の楽園を作った――
花火師という仕事ができるずっと前の話……
火薬の調合の天才を擁するその楽園は
“つあー”なるものを企画し、
全国からのつーりすとを招き入れ、
花火とよばれる赤橙色の烽火を使い、
ボンボンと轟く音と光の祭事を催していた。
自由で裕福なその楽園は、
皆の憧れの地であった。
しかし、憧れは嫉妬を呼び、
争いの引き金となる。
人々を魅了するその花火と呼ばれる火薬を巡り、
楽園を守るもの、楽園の利益を狙う藩主、
火薬の不法所持を看過できない幕府、
火薬の兵器転用と日本侵略の足掛かりを狙う
ポルトガルの思いが交錯する――